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2026/07/17 15:00

オールドエルメスとは、おもに1980〜2000年代初頭までのヴィンテージ・エルメスを指す呼び名。なかでもマルタン・マルジェラが手がけた1997〜2003年の「マルジェラ期」は、いま世界中で価格が高騰する別格の存在です。この記事では、エルメスの歩みからマルジェラ期の魅力、タグやボタンでの年代の見分け方まで、古着屋の視点で解説します。


エルメス(HERMES)とは

エルメスの原点は、1837年にティエリ・エルメスがパリに開いた馬具工房です。ナポレオン3世をはじめとする王侯貴族を顧客に持ち、1867年のパリ万国博覧会では銀賞を受賞。馬車の時代が終わりを迎えると、その鞍づくりの技術をバッグや革小物へと注ぎ込み、ファッションの世界へ歩みを進めます。

1937年には最初のカレ(シルクスカーフ)を発表。1956年にグレース・ケリー妃が愛用したことから名付けられた「ケリー」、1984年に誕生した「バーキン」など、時代を超えるアイコンを生み出し続けてきました。約190年経ったいまも一貫しているのは、素材と職人仕事に一切妥協しないものづくり。「オールドエルメス」が古びないのは、この土台があるからです。

「オールドエルメス」とは?なぜ人気なのか

オールドエルメスに厳密な定義はありませんが、古着の世界ではおおむね2000年代初頭までの過去のコレクションを指して使われます。現行のラインナップにはない大胆な色柄や、当時ならではの贅沢な素材使い・仕立てが最大の魅力。生産数が限られるため一期一会で、近年は世界的な再評価から中古市場でも価格が上がり続けています。

バッグは高嶺の花になった一方、アパレル(服)はまだ手の届く価格帯で見つかることも。「エルメスの服から始める」のは、実はいちばん賢い入り口かもしれません。


マルジェラ期(1997〜2003年)とは

1997年4月、エルメスはベルギー出身のデザイナー、マルタン・マルジェラをレディース・プレタポルテのデザイナーに迎えると発表しました。脱構築で知られる前衛の旗手と、伝統のトップメゾン。意外な組み合わせに世間は騒然としましたが、マルジェラが提示したのは奇抜さではなく、その真逆でした。

最高の素材、完璧なカッティング、着る人の身体に寄り添う設計。1920年代のスポーツ・レジャーウェアに着想を得ながら、流行にも装飾にも頼らない「時代に流されないワードローブ」を、6年間・12のコレクションにわたって作り続けたのです。

発表当時は「地味」と評されることもありましたが、時が経つほどにその先見性が評価され、2017年にはアントワープのモード美術館(MoMu)で回顧展「Margiela. The Hermès Years」が開催されるまでに。いまや中古市場ではプレミア価格で取引される、オールドエルメスの中でも別格の時代です。なお2003年、マルジェラの後任にはジャンポール・ゴルチエが就任しています。


マルジェラ期の名作アイテム

 ・ヴァルーズ:胸元にV字の切り込みを入れたプルオーバー。着脱の所作まで計算された、マルジェラ期を象徴する一着です。

 ・ライナーコート:ミリタリーの機能的なデザインに、カシミヤなどの最高級素材を掛け合わせた名作。

 ・大判カシミヤストール:ポンチョのように羽織れる大判サイズ。ポケット付きなど、実用を突き詰めた設計が光ります。

 ・ドゥブルトゥール:腕時計のベルトを手首に2重に巻くストラップ。マルジェラがエルメスに残したデザインとして、いまも現行品に受け継がれています。


マルジェラ期・年代の見分け方(タグ・ボタン・刻印)

お手持ちの一着や気になる商品がマルジェラ期かどうかは、次のポイントで見分けられます。

 ・横長の「HERMES-PARIS」タグ:マルジェラ期の洋服は、横長のブランドタグが特徴。ヴィンテージの手袋に付いていたタグをマルジェラが復刻させたのが由来と言われます。近年のタグは正方形に近い形なので、形状で区別できます。

 ・品質表示タグ:長方形の品質表示タグが付き、日本で販売されたものにはさらに「エルメスジャポン」表記のタグが加わります。

 ・6つ穴のボタン:糸を通すとエルメスの頭文字「H」が浮かび上がる6つ穴ボタンも、この時代を語る有名なディテールです。

 ・レザーの刻印:バッグや革小物には製造年の刻印があり、□(四角)に囲まれたA〜Gが1997〜2003年に対応します。ただしこれは革製品の話で、洋服に年号刻印はありません。服はタグやディテールからの総合判断になります。

人気ゆえに精巧なコピーも出回るジャンルです。Sereneでは店主がタグ・縫製・素材を一点ずつ確認したうえで、年代の根拠とあわせてご紹介しています。


メンズのエルメスは「ニシャニアン期」

ここまで読んで「メンズにマルジェラ期はないの?」と思った方へ。マルジェラが手がけたのはレディースのプレタポルテで、メンズは別の物語を歩んでいます。エルメスのメンズは1988年から2026年1月まで、実に37年間にわたってヴェロニク・ニシャニアンがただひとりで指揮を執り続けました。これはファッション界でも最長級の在任期間で、退任後の後任にはグレース・ウェールズ・ボナーが指名されています。

つまりメンズのオールドエルメスは、ほぼすべてが「ニシャニアン期」。デザイナー交代のたびに作風が変わるブランドとは違い、四半世紀以上ぶれない上質さが約束されているのがメンズ・エルメスの古着の面白さです。そしてマルジェラ期のレディースも、サイズが合えば男性が羽織って様になる服が少なくありません。


サイズ感について

エルメスのアパレルはFR(フランス)表記が基本で、日本のサイズ感覚とはずれがあります。年代によっても作りが異なるため、表記だけで判断せず、肩幅・身幅・着丈などの実寸でご確認ください。Sereneでは各商品ページに実寸を記載しています。レディースのアイテムを男性が着る場合は、普段のジャストサイズより実寸に余裕があるかを目安にどうぞ。


Serene(セリーン)のオールドエルメス

古着屋Serene(セリーン)でも、オールドエルメスを一点物でセレクトしています。現在は、まさにマルジェラ期(1997〜2003年)のシルクパファー シャツジャケットをお取り扱い中。限られたメゾンだけが使える最高級グレード・6Aのシルクを贅沢に使った、極上の肌触りの一着です。

すべて店主が真贋を確認した一点物。最新の在庫は下記のブランドページからご覧いただけます。

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