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2026/08/02 20:45

セントジェームス(SAINT JAMES)の年代は、ネックタグの3つの要素で読めます。モン・サン=ミシェルのロゴの有無と位置、®マーク、そして生産国が英語か仏語か。この記事では、Sereneの在庫5点の実物タグを並べて、その読み方を説明します。

古着のセントジェームスは、同じ「ウエッソン」でも個体によってタグがまったく違います。ボーダーも無地も、白も紺も、並べてみるとどれ一つ同じ表記がない。ここでは実物を突き合わせながら、タグのどこを見れば年代と流通ルートが読めるのかを整理します。


セントジェームスとは ── 1889年、ノルマンディーの町の名前

セントジェームスは1889年、フランス北部ノルマンディー地方のサン・ジェームス(Saint-James)という町で生まれました。ブランド名は町の名前そのものです。地元の漁師や船乗りが着る仕事着として、ウールのマリンセーターやコットンのバスクシャツを作っていたのが始まりでした。

20世紀初頭に社名は「TRICOT SAINT JAMES(トリコ・セントジェームス)」へ。この社名は、いまも製品のタグに残っています。実物の品質表示タグを読むと、こう刷られています。

 ・S.A.S TRICOTS SAINT-JAMES

 ・1 rue de Beaufour, 50240 SAINT-JAMES, FRANCE

郵便番号の50240が、そのまま創業地の町を指しています。130年以上、同じ町で作り続けているブランドだということが、タグ1枚から読み取れる。

ロゴに描かれているのはモン・サン=ミシェルです。サン・ジェームスの町から車で30分ほどの距離にある、あの世界遺産の修道院。手前に白い波、上に赤いかもめが配されたこの意匠が、長くブランドの顔を務めてきました。フランス政府が伝統的な製造技術を持つ企業に与えるEPV(Entreprise du Patrimoine Vivant=生きた遺産企業)ラベルの認定も受けています。

ちなみに定番モデルの名前「ウエッソン(OUESSANT)」は、ブルターニュ沖に浮かぶ島の名前です。ピリアックなど他のモデル名も、近くの海の島や港から取られています。


ウエッソン、ギルド、L'ATELIER ── 同じ服の、違う呼び名

年代の話に入る前に、混乱しやすい呼び名を整理しておきます。中古で探していると「ウエッソン」と「ギルド」の2つの名前が出てきて、しかも値段が違う。偽物ではないかと不安になる人が多いところです。

 ・ウエッソン(OUESSANT):日本の代理店を通した正規流通での呼び名。日本でしか通じません。

 ・ギルド(GUILDO):本国フランスを含む、日本以外での商品名。並行輸入で日本に入ってくるのはこちら。

 ・L'ATELIER(ラトリエ):日本国外向けのネックタグに入る表記。

服そのものは同型です。生地も作りも、左袖のロゴタブも変わりません。違うのは首まわりのタグのデザインと、日本語の品質表示が付くかどうか。ギルドは偽物ではなく、流通ルートが違うだけです。

ただし古着を年代で見るときには、この区別が効いてきます。日本の代理店を通った個体には日本語のタグが縫い込まれていて、そこに書かれた会社名が年代を絞る手がかりになるからです。後半で詳しく触れます。


見分け方① モン・サン=ミシェルのロゴの有無と位置

ネックタグでいちばん目につく違いが、ロゴの扱いです。Sereneの手元にある5点を並べると、3つのパターンに分かれました。

 ・ロゴなし・文字だけ:「SAINT JAMES®」「depuis 1889」「MADE IN FRANCE」だけが並ぶタイプ。モン・サン=ミシェルの絵が入りません。

 ・ロゴがブランド名の左:波とかもめを伴ったモン・サン=ミシェルが、SAINT JAMESの文字の左隣に配置されるタイプ。

 ・ロゴがブランド名の上:同じ意匠が、文字の真上に乗るタイプ。

2019年にブランドはロゴデザインを更新していて、波とかもめのマークはより抽象化された形に変わりました。現行品と見比べたときにいちばん確実な基準点がここです。旧来の意匠が入っていれば、少なくとも2019年より前の個体ということになります。

ただし、ひとつ注意があります。「ロゴが無い=古い」とは限りません。Sereneの5点のうちロゴが無いのは2点ですが、そのうち1点は日本国外向けのL'ATELIERタグでした。つまりロゴの有無という軸には、年代の違いと流通ルートの違いが混ざっています。

ロゴの位置だけで年代を決めてしまう解説をよく見かけますが、実物を何枚も見ると、それだけでは足りません。次の要素と組み合わせて読む必要があります。


見分け方② ®マークと、生産国が英語か仏語か

ロゴの次に見るのが、この2つです。どちらも小さな違いですが、独立して動くので判別の精度が上がります。

 ・®マークの有無:SAINT JAMESの文字の右肩に®が付くものと、付かないものがあります。Sereneの5点では、カーキの無地1点だけが®なしでした。

 ・生産国の表記:英語の「MADE IN FRANCE」と、フランス語の「FABRIQUÉ EN FRANCE」の2種類があります。

この2つはロゴの有無とは別々に組み合わさります。実際、Sereneの手元では「ロゴなし+®あり+英語表記」「ロゴ左+®なし+仏語表記」「ロゴ左+®あり+仏語表記」「ロゴ上+®あり+仏語表記」という具合に、4通りの組み合わせが出てきました。

単一の軸で年表を作ろうとすると、こういう個体は必ず例外になります。3つの要素を順番に確認して、組み合わせで絞り込む。これが実物に即したやり方です。


見分け方③ タグの縫い付け方

意外と知られていないのが、タグそのものの留め方の違いです。日本の代理店を通した個体と、そうでない個体では、縫い方が変わります。

 ・L'ATELIER(日本国外向け):タグの左右2か所だけを留めていて、中央が生地から浮きます。

 ・日本の代理店を通した個体:タグの上辺全体が襟のリブに縫い込まれ、下側だけが自由になります。

写真は実際にSereneが扱った2点です。上のL'ATELIERタグは左右の端だけに留めの糸が見え、中央がふわりと持ち上がっている。下のモン・サン=ミシェル入りタグは、上辺がぴったり縫い込まれています。

タグの文字が擦れて読めない個体でも、この縫い方は残っていることが多い。文字が消えかけたヴィンテージを判断するときの、最後の手がかりになります。


見分け方④ 日本語の品質表示タグで年代を絞る

ここからが、Sereneが実物を並べて気づいた部分です。日本の代理店を通った個体には、内側に日本語の品質表示タグが縫い込まれています。そこには取り扱っていた会社の名前と電話番号が入っている。

手元の2点では、書かれている会社が別々でした。

 ・(株)コニーアイランド:市外局番03、つまり東京の会社です。

 ・(有)ウェッソン:市外局番06、大阪の会社。モデル名と同じ「ウェッソン」を社名にしています。

同じブランドの同じモデルでも、日本で扱っていた会社が違えば、店頭に並んだ時期も違うということになります。会社名が変われば、その前後で年代の線が引ける。これは海外のタグだけを見ていても分からない、日本に入ってきた古着ならではの手がかりです。

逆に、日本語のタグがまったく無い個体もあります。その場合は並行輸入で入ってきたものか、代理店を通していない個体ということになります。先ほどのL'ATELIERタグの1点には、やはり日本語タグがありませんでした。ネックタグの表記と日本語タグの有無は、きれいに対応します。


見分け方⑤ サイズタグと、法人タグの読み方

襟の内側にはもう2種類、小さなタグが入っています。

ひとつはサイズタグ。こちらにも2つの仕様がありました。

 ・国旗が並ぶ仕様:「Tailles-Sizes-Grösse」の見出しの下に、フランス・イギリス・アメリカ・オランダ・ドイツの国旗が縦に並び、それぞれの国のサイズが書かれています。

 ・文字だけの仕様:国旗が無く、「F / NL / D / E / I / USA / GB」といった略号と数字だけが並びます。

もうひとつが法人タグです。先に触れた「S.A.S TRICOTS SAINT-JAMES」の社名と住所に加えて、RN 130787 / CA 54397 という番号が刷られています。RNはアメリカ、CAはカナダで、繊維製品の製造・輸入業者に与えられる登録番号です。北米市場に向けた表示がフランス製のタグに入っている、というのは輸出を前提に作られていた証拠でもあります。

この法人タグには4文字のアルファベット(手元の個体では「SVBV」「SEBD」)も入っていて、個体ごとに違っていました。製造ロットか工場を示す符号と思われますが、対応表は公開されていないため、年代の断定には使えません。ここは今後の宿題として置いておきます。


T3とT3½は、実寸だとほとんど変わらない

セントジェームスのサイズはフランス規格のユニセックス表記で、日本のS・M・Lとは対応しません。一般的な目安はこうです。

 ・T1:レディースXS〜S

 ・T3:レディースS〜M

 ・T4:レディースM〜L、メンズS

 ・T5:メンズM / T6:メンズL / T7:メンズXL

T2は作られていません。女性向けと男性向けの中間で需要が薄かったためと言われています。

ただし古着で選ぶときは、この表を鵜呑みにしないほうがいい。Sereneで実際に採寸した数字を並べると、こうなりました。

 ・T3(ネイビー無地):着丈60 / 肩幅50 / 身幅50 / 袖丈53

 ・T3½(ボーダー):着丈59 / 肩幅47 / 身幅49 / 袖丈53

 ・T3½(ブルーグレー無地):着丈56 / 肩幅48 / 身幅49 / 袖丈50

 ・T5相当(カーキ無地):着丈64 / 肩幅51 / 身幅52 / 袖丈54

気づくのは、T3とT3½の差がほとんど無いことです。身幅は50と49、着丈にいたってはT3½のほうが短い個体すらある。表記が半サイズ違っても、実寸では逆転しうるということです。

理由は洗濯による縮みです。この生地は洗うと縦方向に2〜3cmほど詰まります。何年も着られた古着では、もとの表記より着丈が縮んでいるのが普通。だから古着のセントジェームスは、サイズ表記ではなく実寸で選ぶのが正解です。袖丈がもともと9分丈に作られている点も、数字を見るときに覚えておくと迷いません。

Sereneでは全点を平置きで採寸して商品ページに記載しています。手持ちの一枚を同じ4か所で測って、数字で比べてみてください。


Sereneのセントジェームス

この記事で挙げたタグは、すべてSereneが実際に扱った個体のものです。現在お求めいただけるのは次の4点です。

 ・ボーダー T3½(ネイビー×生成り):ロゴの入らない文字だけのネックタグ。国旗が並ぶ旧仕様のサイズタグ付き。

 ・カーキ 無地(T5前後):®マークが付かないタイプ。無地のオリーブグリーンは数が少なく、ボーダーが苦手な方に。

 ・ネイビー 無地 T3:本文で触れたL'ATELIERタグの個体。日本の代理店を通していない一枚です。

 ・ブルーグレー 無地 T3½:モン・サン=ミシェルが左に入るタグ。日本語の品質表示に「(株)コニーアイランド」が残ります。

いずれも店主が実物を確認し、平置きの実寸とコンディションを商品ページに記載しています。バスクシャツは体型より寸法で決まる服なので、数字を見てから選んでいただけます。

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